A.アレンスキー
【アレンスキーについて】
Anton
Arensky(1861-1906)は、ロシアの作曲家で、ピアニスト、指揮者でもあります。幼いときから音楽の才能を示しましたが、1879年にペテルスブルグの音楽院に入り、R.コルサコフの指導を受け、1882年に卒業してすぐ、モスクワ音楽院で教鞭をとるようになります。ここで、スクリアビン、ラフマニノフ、などを教え彼らの先生として知られています。ただ、過度の飲酒癖と賭博癖があり、体をこわして40半ばで亡くなっています。アレンスキーはピアノ協奏曲をはじめ結構多くの作品を残しましたが、すぐに忘れ去られ現在まで、「不当に」と云って良いほど軽んじられてきました。ただ、近年になって多くの彼の作品が見直され録音されたこともあって、若干、日が当たり始めたかな、という位置にいます。作風は、チャイコフスキーの影響下にあると云われますが、如何にもヨーロッパ・ロマン派の音楽で、精緻な和声は彼がプロの作曲家であることを示しています。ムソルグスキーなどロシア5人組の民族的な方向とは少し異なるわけです。ただ、逆にそのことが彼独特の個性的なスタイルの確立と云う意味では弱く、それが今まで不当に忘れられている理由の一つかと思われます。
【おとぎ話】
この曲は、作品34の子供の為の連弾曲集に含まれる、「子供向け」のピアノ作品です。国内版の楽譜でも、この曲集は発売されており、子供向けのオリジナル連弾曲集が少ない中、貴重なリソースです。
【24の小品 作品36より】
●ノクターン
第3曲目に含まれる、ノクターンは如何にもロマン派風のデリケートな和声が冴える美しい曲です。弾いてみれば分かりますが、いわゆる「ロシア臭」は殆どなく、洗練されたヨーロッパ音楽そのものと云う感じです。逆に言えば、これが彼の「欠点」なのでしょうが、そんな事を気にしなければ、大変美しい作品で弾く価値のある曲だと思います。
※楽譜の運指について
楽譜上の運指は、私が付けています。左右の手の振り分けも同じです。充分手の大きい人は、このように左右に振り分ける必要はないかと思います。
【4つの練習曲
作品41】
作品41は「4つの練習曲」と題されています。アレンスキーには作品74に「12の練習曲」もありますが、どちらもそれほど難しい練習曲ではなく(やさしくはありませんが・・)、いわゆる「サロン風」練習曲となっています。なお、楽譜の指使いは私が付けたもので、参考程度に見て下さい。
●1番
変ホ長調
左手が休みなく16分音符の流れるように速いアルペジオを奏する、左手の練習曲です。5/8拍子で書かれていますが、不自然に5拍を数えることはなく、2拍目が若干「膨らんだ」2拍子として数えて弾けば良いです。左手の指馴らしに恰好の練習曲です。
●3番
変ホ短調
両手を一杯に拡げて広いアルペジオを弾きます。手の小さい人には苦しいかも知れませんが、手を一杯に拡げて指を動かすのは大変良い練習になり、ウォーミング・アップとしても役に立ちます。