[1]作品28-4 ホ短調
[2]作品28-6 ロ短調
[3]作品28-7 イ長調
[4]作品28-15 変ニ長調
[5]作品28-20ハ短調
【前奏曲について】
「前奏曲〜Prelude」という名称は文字通り、何かの前に演奏する曲と云う意味です。組曲の冒頭に置かれたり、フーガの前に置かれて「前奏曲とフーガ」になったり・・するのが本来の使われ方です。しかし、このショパンの前奏曲集以来「何か」の前でなく独立した曲の名称にも使われるようになりました。ドビュッシー、スクリャビン、ラフマニノフ等の前奏曲はこのショパンに倣ったものです。要するに、ベートーヴェンの「バガテル」やシューベルトの「楽興の時」のような、個性的な小品を表すジャンル名と考えられます。
なお、ショパンの前奏曲はこの作品28に含まれる24曲の他に作品41の嬰ハ短調、今世紀になってから発見された変イ長調(番号無し)、が知られています。
●ホ短調、ハ短調
両曲とも、パリのマドレーヌ大聖堂で行われたショパンの葬儀の際にオルガンで奏されたものです。ホ短調は深い憂愁に満ちた歌、ハ短調は「葬送行進曲」です。ハ短調の方は、恰かも葬列が徐々に遠ざかって行くようなダイナミック変化で演奏され、深い悲しみの余韻を残します。
●イ長調
ショパンの前奏曲の中で最も有名な曲でしょう。日本では、胃薬のCMに長年利用されて来ましたので××胃散のイメージが強いですが、曲自体は「マズルカ」と考えられます。ショパンのマズルカは故郷に思いを馳せた内容が多いですが、この曲などは、とりわけ故郷が、ショパンにとって温かく慰めに満ちたイメージで捉えられていた事がよく分かります。少年時代、故郷で家族に囲まれた団欒の一時に思いを馳せながら作曲したのではないかと感じます。
●2つの雨だれの前奏曲
この曲はショパンの前奏曲集(op.28)の第6曲目、及び第15曲目、に当たる曲です。作品28の前奏曲集は1調性1曲の配分で全24曲から成り、この2曲はこれらの中でロ短調、変ニ長調、に割り当てられています。集中の何曲かは1838年から39年にかけてジョルジュ・サンドと滞在したマジョルカ島にて書かれていて(前奏曲集出版の前金をマジョルカ島旅費に充てている)、この2曲もそこで書かれたと推測されています。ロ短調のほうは短いですが、通して陰鬱な雨だれが響き、変ニ長調も中間部では陰鬱な雨だれと寺院のお経が聞こえます。これはマジョルカ島旅行が(特に滞在の後半〜冬が)失敗で、ショパンにとって余り良い結果をもたらさなかった事を暗示しています。
