E.グラナドス

 

【グラナドスについて】
Enrique Granados(1868〜1916)は、スペイン近代を代表する音楽家の一人で、年齢的にちょうどアルベニスとファリャの間に位置します。優れたピアニストでもあったためにピアノ作品が多く、「スペインのグリーク」と評されることもあります。

私たちが「スペイン音楽」をイメージする場合に、ややもすればジプシーの影響の強い南部アンダルシア地方の音楽を念頭に置きがちです。確かに(グラナドスと同じ様な作曲家兼ピアニストである)アルベニスはこの南部地方の民族音楽をそのまま取り入れているために、強い土俗音楽の香りがしますが、スペインも北部になると文化圏的にはフランスに近く、音楽も幾分ヨーロッパナイズされたものに変わります。グラナドスは、その意味でアルベニスよりややヨーロッパナイズされた雰囲気を持っていて、ファリャなどと同系列の音楽家であると云えます。

【スペイン舞曲集】
12曲から成っていて、4巻に分かれていますが現在では通し番号で呼びます。この中で、いわゆるアンダルシア地方の雰囲気をもったものは2、5、11、12番の4曲で、この割合が上に書いたグラナドスとアルベニスの違いです。「スペイン舞曲集」はグラナドスの代表的作品ですが、演奏技術的には全体に難しくなく、初級から中級程度の腕前で全曲が弾ききれますから、趣味のピアニストにも恰好の素材です。

1)メヌエット(第1番)
活発で明るい光に溢れる部分の間に、メランコリックな中間部が挟まれています。この陰影の対比が大変美しい。

2)オリエンタール(第2番)
私の感覚では、どこか神秘的な香りのする、黒い髪、黒い瞳の東洋の女性をイメージします。中間部の幻想的な旋律も憧れを秘めて美しい。

3)アンダルーサ(第5番)
この曲集と云うよりも、グラナドスの作品中最も有名な曲です。よくギターで奏せられたりもします。題名通り南部のアンダルシア地方の香りを感じさせる曲で、要するに「スペインらしいサウンド」です。

4)アラベスカ(第12番)
ギターの感じのよく出た曲です。アラベスカはアラビア風と云う意味ですが、1492年に陥落したアラビア王朝は、コルドバに美しい宮殿を残して去りました。この滅んでいった美しい物への追憶、と云った雰囲気に満ちた曲想です。