E.レクォーナ

【作曲者について】
作曲者のレクォーナ(Ernesto Lecuona)は、1896年生まれ1963年没のキューバの作曲家兼ピアニストです。この曲集に含まれている「アンダルーサ(軽音楽では“そよ風と私”の題名で知られる)」「マラゲーニャ」の他にも「マリア・ラ・オ」「ラ・コンパルサ」「シボネー」等は軽音楽分野でのラテン・スタンダード・ナンバーとして良く知られていますので御存知の方も多いかと思います。ラテンアメリカ音楽は、現在では軽音楽分野で大人気ですが、レクォーナはいわばその元祖にあたると云えます。実際、彼は「レクォーナ・キューバン・ボーイズ」なるバンドを率いて軽音楽分野でも大活躍をしました。


【アンダルシア組曲について】
この曲集の副題は「スペイン風」組曲となっていて、レクォーナ自身のスペイン旅行の印象を(半分は自身の演奏の目的で)ピアノ曲集にまとめたものです。現在でも、彼自身の演奏が沢山残っていてCDに収められたものが手に入ります。音楽内容は、(スペイン本家の作曲家である)アルベニスやグラナドス等のピアノ音楽の焼き直しに近いものですが、この両者に比べると若干きめの粗さが目立ちます。しかし、馴染みやすいメロディや単純ではあるけれども充分な演奏効果のあるピアノ書法で、要するに軽音楽とクラシックの中間と云う感じで気軽に楽しめる曲集になっています。なお、ここでは4曲を取り出しましたが、本来含まれる6曲とその順序は以下の通りです。

1)Cordoba
2)Andaluza
3)Alhambra
4)Gitanerias
5)Guadalquivir
6)Malaguena

●第1曲「コルドバ」
美しいアルハンブラ宮殿の跡が残るコルドバは、昔から色々な作曲家のイマジネーションの源となってきました。アルベニス(組曲スペインの歌)やタルレガ(アルハンブラ宮殿の想い出)等、色々な作曲家がこの街からインスピレーションを受けて美しい音楽を作曲しています。いずれの曲も失われてしまった「美しく高貴なもの」に対するノスタルジーに満ちた曲想ですが、レクォーナの場合も例にもれず、哀愁をおびた曲想となっています。

●第2曲「アンダルーサ」
軽音楽では「そよ風と私」の題名で知られる、レクォーナの代表作の一つです。軽音楽ジャンルではルンバで演奏されますが、原曲はこのようなスペイン風の複合3拍子で、そよ風と云うよりは「熱い風」です。

●第4曲「ギタネリアス」
やはりスペインの民謡から採られていて、この旋律はゴットシャルクの「アンダルシアの想い出」にも顔を出します。軽快な曲でテンポが速いですが、弾いてみると意外に弾きやすく、レクォーナが優秀なピアニストであった事がよく分かります。

●第6曲「マラゲーニャ」
レクォーナの名前は知らなくてもこの曲は知っていると云う人が多いほど、彼の作品中では最も有名な曲です(もっとも「タブー」も日本では独特の使われ方をしたために負けず劣らず有名ですが)。やはりスペインの民謡から採られているために、中間部分の旋律は上記ゴットシャルクの曲にも顔を出します。マラゲーニャと云う舞曲は、速い部分とゆっくりした部分が交互に出ますが、この速い部分はフラメンコ独特の複合3拍子で出来ており、いわゆる「スペイン風」の香りが濃厚です。