A.リヤドフ

 

【リヤドフについて】
リヤドフ(Anatolii Lyadov 1855-1914)は、ロシアの作曲家で、ピアニスト、です。ほぼ同年代にタネーエフがいますが、アレンスキーなども含めて、帝政ロシア末期の作曲家たちは、現在あまり顧みられることがなく、どちらかと云えば埋もれた作曲家に数えられます。近代ロシア音楽は、チャイコフスキーを初めとして多くの作曲家を輩出しています。ただ、その中でも「The Five」と呼ばれるロシア5人組が世界的に名を馳せているのに比べ、その他の作曲家は名が忘れられがちです。ロシア革命と云う混乱期を乗り越えられずに埋もれてしまったとも云えるかも知れません。アメリカに渡ってピアニストとして成功したラフマニノフ、独自のサウンドを開発して世紀末の雰囲気にのって有名になったスクリャービンなどはモスクワ音楽院でリヤドフ、アレンスキーなどの弟子に当たりますが、この2人の成功に比べて、地味な存在であることは否めません。バレー「春の祭典」は、最初リヤドフに依頼されていましたが、彼がグズグズしている間に、結局は当時まだそれほど有名でなかったストラヴィンスキーに依頼されました。もしも、リヤドフが「春の祭典」を作曲していたら異なった結果になったかも知れません。しかし、あれほどユニークな「春の祭典」が書かれなかった可能性の方がずっと大きいですが・・。
リヤドフの作品は小品が多く(と云うよりも小品しか書けないと悪口を言われるようですが)、特にピアノ小品は多く残されておりアマチュア・ピアニストのレパートリーとしてもっと活用されて良いと思います。


【バガテル 作品30】
リヤドフにはピアノ向けの小品が多く残されていますが、この曲もそのひとつです。曲想としては、ノクターンのようで3連の伴奏にのって穏やかな旋律が流れます。小さなカデンツァもあり、よくまとまった小品です。ただ、我々がロシアの作曲家に期待するいわゆる「ロシア臭」は殆どなく、その辺りが作曲家として忘れられる原因かとも思われます。