E.マクダゥエル

【マクダゥエルについて】
E.A.MacDowell(1861〜1908)はアイルランド系のアメリカ人で、作曲家でもありピアニストでもあります。クラシック音楽の伝統に欠けていたアメリカでは、数少ない本格派の作曲家として、高い地位を与えられ、今日、なお高く評価されている大物です。自身ピアニストでもあった事から、作品はピアノ用のものが多く、ピアノ協奏曲、ピアノソナタ、練習曲集、の他に多くのピアノ小品が残されています。
【森のスケッチ
作品51】
曲集『森のスケッチ〜Woodland Sketches』は、10曲からなる美しいピアノ小品集で、マクダゥエルの作品中では最もよく知られています。マクダゥエルは27歳の時に留学先のドイツから帰国し、10年間ほどボストンに住んでいます。つまり、この《森〜》は、当時マクダゥエルが暮らしたアメリカ東北部(ニューイングランド地方)の美しい森林地帯の風景を描いたものです。彼は、好んで「アメリカ的な雰囲気」を曲の中に取り入れようとしていますが、それは、一般に良く使われるニグロ的(ジャズ的)なものではなく、アメリカ・インディアン的なものが多いです。この辺りが、別の意味でアメリカを代表する作曲家&ピアニストである「ガーシュィン」等のアメリカ的とは少し異なるものと思われます。
●「野バラに寄せて」(To a Wild Rose)
『野バラに(To a Wild
Rose)』は、この曲集の冒頭の曲で大変良く知られ、愛すべき可憐な旋律故に歌詞まで付けられて歌われたりもします。
●「鬼火」(Will o' the
Wisp)
森の奧の沼地でチラチラ光る幻想的な光。曲は、軽やかなリズムで、大変速く演奏されます。蛍の大群が、繁殖期に或る神秘的なリズムで、互いに光を明滅させて呼び合う光景を思い出します。
●「昔逢い引きした場所で」(At an Old Trysting
Place)
懐かしさと優しさに満ちた美しいメロディです。発想標語に「少し古びた感じで、但し、感傷的になりすぎないように」とあります。昔の逢い引き(Trysting)はきっと、幸せで楽しいものだったにちがいありません。
●秋に(In
Autumn)
秋は、感傷的な季節に解釈されることもありますが、この曲は収穫の「秋」であり、感謝祭などをひかえた、うきうきした心の秋のようです。楽しげなリズムにのって奏されますが、中間部では秋の森の冷やりとした空気が感じられます。
●「睡蓮に寄せて」(To a Water
Lily)
森のスケッチ中6曲目に位置する曲で、これも美しく、「野バラに寄せて」と同じくらい良く知られています。標語には「夢見るように揺れるリズムで」とあります。

●「リーマスおじさんから」(From Uncle
Remus)
リーマスおじさんとはマクダゥエルが愛読した童話の本です。曲は、愉快な感じで、ラグタイムのようなリズムで快活に演奏されます。子供っぽい朗らかな曲想が楽しい1曲です。
●「牧場の小川のほとり」(By a Meadow
Brook)
のどかで気持ちの良い天気、牧場の小川はサラサラと流れ、遠くで馬のいななく声や、走り回るひずめの音が聞こえる・・と云った風情の曲です。途中のリタルダンドは、余り気持ちよくて、つい居眠りをしてしまったような感じでしょうか。
【Scotch Poem
作品31-2】
作品31は「ハイネに倣った6つの詩」と題される、6曲からなる小品集ですが、その第2曲目にあたります。昔、アメリカの人気番組(シャーロック・ホームズ)のバックに使われて良く知られるようになったために、6曲の中では最もよく演奏されます。夜の嵐の海を連想させるような、激しい部分が一瞬途切れて雲間から月が射し、かすかにスコットランド民謡風の旋律が聞こえます。
【To the moon】
「Forest
Idyl」と云う題の小曲集の第9曲目に含まれ、題名が示す如くロマンティックな曲です。「Idyl」と言う言葉は牧歌(風の小曲)を指し、マクダゥエルには、ナンタラ・イーディルと云う題名の曲がたくさんあります。