パッヘルベル

 

【パッヘルベルについて】
Johann Pachelbel(1653-1706)は、ドイツ・バロック期のオルガンの巨匠です。教会のオルガニストとして一生を終えていますが、演奏者としてだけではなく、多くのオルガン作品を残し、北ドイツの巨匠ブクステフーデ(1637-1707)とともに、南ドイツのパッヘルベル、として並び称されたようです。バッハ、ヘンデルより30歳以上年長ですが、パッヘルベルはバッハ一家とも交流があったと伝えられ、特にオルガンに関しては、バッハが大変尊敬し、研究した作曲家の一人です。作品の殆どはオルガン作品、それもコラール旋律を元にする「コラール編曲」作品ですが、現在この「カノン」だけは、弦楽合奏で演奏される、彼の超有名曲として知られています。

【カノン】
詳しくは「3つのヴァイオリンと通奏低音の為のカノン(とジーグ)」と云う名前で、通奏低音楽器による、和声の上に3台のヴァイオリンが追っかけ合いをします。楽譜が出版されたのは20世紀になってからで、以来、優しい旋律が好まれて、癒やし音楽の定番のようになっています。ただ、パッヘルベルの自筆の楽譜が残っているわけではなく、はっきりとした原型は分からないようです。

《ピアノ編曲について》
ピアノ編曲楽譜は、私が適当にアレンジしたものですので、以下に説明しておきます。

●楽譜の構成
カノンと呼ばれる音楽の形は、いわゆる「輪唱」で、「カエルの歌」などのように、同じメロディが少しづつ「ズレ」て演奏されるものです。この曲は、4小節のメロディが、全部で7種出現し、それぞれ2小節遅れて、第2、第3のヴァイオリンが追っかけます。従って、第1番目のヴァイオリンが演奏を始めて、第3番目のヴァイオリンが演奏を終えるまで、都合8小節かかるわけです。先に終わってしまったり、まだ始まっていないパートは、適当に伴奏のような旋律を演奏して間を埋めます。

ところで、このカノンでの追っかけは、全く同じ音域で行われていて(カノンの種類によっては、5度や8度離れて追っかけるものもあります)、ピアノの鍵盤では(音域が交錯して)大変弾きにくい。弾きにくいと云うよりも、ゴチャゴチャになって訳が分からないのです。そこで、私は、始まりと終わりは追っかけ合いを残しましたが、途中は4小節の主題を次々に出現させるだけに止め、追っかけ合いは省略しました。従って、曲のサイズ自体は半分近くに縮んでいる事になります。ただ、主要なテーマは全て正しい順序で出現しますので、まあ、これで良いかと考えました。

●弾き方
左手で和声を支えますので、音域が広く、弾きにくいかも知れません。適当に右手の空いている部分で補助して下さい。途中に私が記している、右手、左手の区別も、ご自分の手に合わせて自由に変更して下さい。