サン・サーンス

【サン・サーンスについて】
C.Saint-Saëns(1835〜1921)近代フランスの超大物と呼べる数少ない作曲家のひとりです。豊かな才能と、長寿にも恵まれ、亡くなった時にはフランスの国葬がとりおこなわれたほどです。「サムソンとデリラ」などのオペラをはじめ、交響曲、ピアノ協奏曲、ヴァイオリン協奏曲、鎮魂ミサ、など多くのジャンルで名作を残しています。パリ生まれの生粋のフランス人で、あらゆる意味に置いて「フランス」の香り豊かな作風を持ち、いわゆる「フランス音楽」を取り上げるときには、真っ先に取り上げられるべき作曲家でしょう。


【動物の謝肉祭】
サン・サーンスの作品の中でも、通俗的な人気では第1番の曲ですが、生前のサン・サーンスは基本的にこの曲の公開を禁じ、正式に初演されたのは彼の死の翌年と云うことになっています。何故公開を禁じたのかは分かりませんが、この曲が本格的に作曲されたものではなかったことも理由の一つでしょう。彼が、ある町で謝肉祭の期間を過ごすことになったとき、その祭りの音楽を頼まれ、即席で作曲したと云われています。楽器編成も、町の音楽家に合わせて変則的で、ピアノ2台と小編成のオーケストラ(ピッコロ、フルート、クラリネット各1、と弦楽五重奏、及び珍しいハーモニカ)で書かれています。内容は一種のパロディ音楽で、既存の色々な旋律断片を巧みに取り入れ、各種動物に託して描くユーモアの効いた冗談音楽ぽい作りです。ただ、51才の絶頂期にある作曲家の作品だけあって、音楽そのものは非常に品格が高く芸術性があり、下品なパロディに堕してはいません。そのために、今ではサン・サーンスの代表作の一つに数えられています。

●水族館
2台のピアノの流れるようなアルペジオの中で、ハーモニカ(リード楽器のハーモニカではなく、澄んだ音のする打楽器の一種)が幻想的なメロディを奏でる美しい音楽です。青い水中の情景を彷彿とさせる見事な雰囲気描写です。13曲目の有名な「白鳥」と並んで、曲集中、最も美しい音楽でしょう。

《ピアノ編曲について》
2台のピアノとオーケストラの編成をソロに直すのは大変難しく、結局第1ピアノは殆ど省略されています。曲の感じだけは残しましたつもりですが・・・。