デオダ・ド・セヴラック

 

【セヴラックついて】
Déodat de Séverac (1873-1921)は、フランス近代のピアニスト&作曲家ですが、どちらかと云うと、現在不当に忘れられています。若い頃は、有望なピアニストとして将来を嘱望された(アルベニスの弟子としてグラナドスとともに有望株だった)ようですが、病弱なこともあって、田舎に引きこもったまま一生を過ごしたために、脚光を浴びずじまいでした。しかし、その音楽はドビュッシーが高く評価し、いかにもフランス的な香りを持った美しいものです。寡作であったため、多くは残されていませんが、ピアノ曲(とオルガン曲)が中心で、最近になってボツボツと採り上げられるようになってきました。


【ピアノ曲集「休暇の日々から(En Vacaces)」】
第1集(7曲)と、未完に終わった第2集があります。第1集は、副題に「中級程度の難しさの、ロマンチックな小曲集」とあるごとく、あまり難しくなく、アマチュア・ピアニストの恰好のレパートリーです。冒頭に「シューマンへの祈り」と題された曲が置かれ、彼が尊敬し愛した、シューマン(の子供の情景)を彷彿させるような趣向の曲集になっています。大変に洒落た美しい曲が揃っていますので、是非、お弾きになってレパートリーの一つに加えていただきたいと思います。

●「シューマンへの祈り」〜Invocation á Schumann
第1集の冒頭に置かれるこの曲は、どことなく「子供の情景」の第1曲を思わせる曲種と音型で、静かに淡々と流れ心を癒やしてくれる音楽です。6/8拍子のリズムが軽やかで、しかし内声に淡い旋律が歌われます。誇張や気取りのない、如何にもセヴラックらしい、又、フランス的な曲趣を持っています。

●第3曲「教会のスイス人の扮装をしたトト」〜Toto déguisé en Suisse d'glisé
トトは男の子の名前でしょう。教会の聖歌を思わせる響きとメロディが使われ、これも又フランス音楽の伝統です。

●第4曲「ミミは侯爵夫人の扮装をする」〜Mimi se déguise en "Marquise"
曲はメヌエットで、優雅で古風な感じに満ちています。曲はミミ・ゴドフスキに献じられていますが、このミミはラヴェルが、あの「マ・メール・ロワ」を書いた子供ではないでしょうか。